Canon XC10の仕様と、Canon XC10を実際に利用した体験を元に、XC10の使い勝手や、仕様から分からない点について徹底検証してみた。本ページには、随時記事を追加していく予定なのだ。
撮像素子 | 1.0型、CMOS 総画素数:約1336万画素 (4224×3164) 有効画素数:動画 約829万画素(3840×2160)、静止画 約1200万画素(4000×3000) |
レンズ | 35mmフィルム換算 動画:27.3-273mm 静止画(4:3):24.1- 241 mm 絞り:F2.8-5.6 (8枚羽根虹彩絞り) ズーム:光学10倍ズーム ※実際の(35mm換算しない)レンズ焦点距離:f8.9-89mm ※レンズ交換非対応 (レンズは固定式) |
フィルター径 | 58mm |
最短撮影距離 | レンズ前面より50cm (ワイド端は8cm) |
フォーカス | 調整方法:マニュアルフォーカス、オートフォーカス AF方式:TTL自動焦点 (TTL方式) |
手振れ補正 | 光学式+電子補正 (スタンダードIS、ダイナミックIS、パワードIS) |
被写体照度 | 最低被写体照度:約0.05ルクス 被写体照度範囲:約0.05~10万ルクス (マニュアル露出:ゲイン42db、シャッタースピード1/2秒) |
NDフィルター | 内蔵 (単濃度) |
アイリス | オート、マニュアル |
ISO感度/ゲイン | ISO160~20000、ゲイン0.0db~42db (オートISO リミット/AGCリミット機能あり) |
露出 | オート、マニュアル、その他 |
マイク | ステレオエレクトレットコンデンサーマイク ※ステレオミニプラグ外部マイク端子あり、プラグインパワー非対応 |
シャッター | Tv(シャッター速度)優先/M(マニュアル)モード時 (1/2-1/2000秒)、他のモード (自動制御) |
記録方式 | ■動画:映像圧縮方法:MPEG-4 AVC/H.264 音声記録方式:リニアPCM、16bit、48kHz、2ch ファイルフォーマット:MXF方式 ■静止画:DCF準拠、Exif Ver2.3準拠、静止画圧縮方法:JPG ※RAWデータ記録不可能 |
記録/再生信号形式 | 4K動画:3840 x 2160:305Mbps (29.97p / 23.98p)、205Mbps (29.97p / 23.98p) 2K動画:1920 x 1080:50Mbps (59.94p)、35Mbps (59.94i / 29.97p / 23.98p) |
記録メディア | 4K動画:CFastカード HD動画/静止画:SD/SDHC/SDXCメモリーカード (設定データの保存/読み込みにも使用) |
記録時間 | 4K動画: 64 GB CFastカード (305Mbps、205Mbps):約25分、約40分 128 GB CFastカード (305Mbps、205Mbps):約55分、約80分 HD動画: 16 GB SDカード (50Mbps、35Mbps):約40分、約60分 32 GB SDカード (50Mbps、35Mbps):約80分、約120分 64 GB SDカード (50Mbps、35Mbps):約170分、約240分 128 GB SDカード (50Mbps、35Mbps):約340分、約485分 ※128GBよりも大きな容量の(256GB SDカード)への対応は不明(マニュアル類には未記載) |
液晶画面 | 3.0型、約103万ドット、視野率100%、静電容量方式タッチパネル、バリアングル対応 |
インターフェイス | ■HDMI OUT端子:HDMIミニコネクター、出力のみ。1080/59.94p、2160/29.97p出力可能 ■MIC(マイク)端子:Φ3.5mmステレオミニジャック(不平衡)、 -65dBV (ボリュームオート、フルスケール-12dB)/5kΩ以上、Att:20dB。 ※プラグインパワー非対応。 ※XLR端子無し。 ■ヘッドホン端子:Φ3.5mmステレオミニジャック -29dBV (16Ω負荷時、ボリューム最大)/100Ω。 ■USB端子:mini-B、Hi-Speed USB(出力のみ) |
電源 | DC 7.2 V (充電式リチウムイオンバッテリーパックLP-E6N)、DC 8.4V (DC-IN) DC電源を用いてバッテリーパックLP-E6Nを充電可能。 |
大きさ | 外形・寸法:約125×102×122mm 約131×115×238mm (ファインダーユニット、フードユニット含む) |
撮影時総質量 | 約1040g (フードユニット、LP-E6N、SDカード、CFast カード含む) |
本体質量 | 約930g |
Canon XC10を実際に使った感想、使い勝手は?XC10スペック表、主な仕様、または仕様から分からない点、気づき難い点を徹底検証してみる。
Canon XC10を使って実際に撮影してみた結果、思っていたよりもマイク性能は良く、通常利用には外部マイクを利用することなく動画撮影を行うことができる。ここで思ったよりもマイク性能が良い、という比較はニコンD4等のフラッグシップ、ハイスペック仕様の一眼レフの動画撮影機能との比較である。静止画像撮影がメインの一眼レフでは、動画撮影はおまけとして付いている場合が多く静止画撮影を中心としての機能を充実させている。そのため、一眼レフでの動画撮影時にステレオマイクが附属していないなどから、映像は綺麗に撮れても音声収録に弱いことがある。しかし、Canon X10は形は小型のマイクロフォーサーズ一眼レフ機に似ていてもは動画撮影のために作られたカメラのため、映像収録のみならず、音声収録性能も十分な性能を持っている。
XC10本体に内蔵されたマイクだけでも十分なステレオ音声を収録できるマイク性能を持っている。しかし、さらに良い音声を収録したい場合は、RODE Stereo Videomic xステレオコンデンサーマイクなどの高性能外部マイクの利用をお勧めする。外部マイクを選ぶ際の注意点としては、Canon XC10は、ニコン一眼レフなどで使えるプラグインタイプのコンデンサーマイクを利用できないことである。そのため、外部コンデンサーマイクを利用する場合は、電源を独自に確保できるマイクが必要となる。また、放送用、業務用の高性能ビデオカムコーダで標準装備されているXLR端子も付いていないため、ステレオミニジャック接続できるマイクが必要となる。
XC10には充電池を単体で充電できる充電器が附属していない。その代わりに、附属されているACアダプターをCanon XC10本体のDC電源端子に差し込むことにより本体内の充電池を充電することができる仕様となっている。また、DC電源を使うことにより、スタジオなどで長時間撮影する際も電池切れを気にすることなく撮影を行うことができる。
XC10に附属の充電電池は、Canonの一眼レフ5Ds、5D Mark II、6D、7D Mk II、7D、70D、60D、60Daなどで利用するバッテリーパックと共通のLP-E6Nをを利用するため、キヤノンのそれら充電池を持っている場合はそのまま共通で利用できる。またLP-E6N用の充電器を既に持っている場合は、それを使ってXC10の充電池を充電することができる。XC10の充電池LP-E6Nを充電するための外部充電器として、LC-E6という型番の純正充電器が利用できるのでもし持っていない場合は、XC10を購入の際に同時購入をおすすめする。
高級一眼レフや高級コンパクトカメラでより高品質な静止画を撮影するために、近年ではRAWデータと呼ばれる生データを記録できることが一般的となっているが、Canon XC10では静止画記録時にRAWデータを記録できずJPGデータのみの記録方式となっている。これは、XC10が動画撮影に特化して開発されたビデオカムコーダーであり、静止画撮影はおまけと考えられているからであろう。実際、XC10を使って試しに静止画を記録してみたが、撮影された静止画映像は、数万円前半のデジタルカメラ並の品質であった。XC10は動画を撮影するための機械であると割り切って使うしかないだろう。静止画撮影機能は、ほんのおまけ機能である。高品質な静止画を撮影するには、別途一眼レフなどのデジタルカメラを別に購入することをおすすめする。
Canon XC10で動画を撮影すると、映像・音声データはXF-AVCという形式のデータで記録される。XF-AVCフォーマットは、キヤノンが4Kデータを記録するために独自に開発したフォーマットであり、キヤノンは今後、4K対応の業務用ビデオカメラを中心に「XF-AVC」を採用していくという。他社が採用するビデオフォーマットでは、SONYが開発したXAVC形式が普及し始めてきているが、キヤノンはこれを採用せずに、今回XC10発売と同時に初めてXF-AVC形式を発表・採用した。新しいビデオフォーマットではあるが、既にAdobeなどの大手動画編集ソフトでは読み込み、編集することができる。
もし、手持ちの動画編集ソフトでXF-AVC形式の編集に対応しない場合は、Canon XC10を購入しても従来の2K動画でしか機能しないことになり、事前に注意が必要だ。
筆者が、Apple MacBook Pro(最上位機種)とAdobe Premiere Pro CSの組合せで動画編集を行った所使い勝手は良好だ。HDサイズで編集を行いながらリアルタイムにカラーグレーディングを行ってもリアルタイムで途切れることなく動画編集を行うことができる。編集画面上で再生した際に時々音声データが途切れることはあったが気にならない程度である(何度か試しているうちに音声が再生されることもあったため、これはキャッシュファイルなどの処理の遅延等によるものかも知れない、詳細理由は不明)。Adobe Premiere Proで編集を行い、メディア書き出し時にH264形式を指定することにより、4K動画映像として動画出力を行うことができる。そのままデータをYouTubeへアップロードすればYouTube上でも4Kデータとして正常に処理される。
Canon XC10で4K映像を撮影する場合は29.94pまでであり、60p(59.94p)映像は撮影・記録できない。60p映像が撮影できるのが理想であるが、現時点で60p撮影を行ったとしても、記録するメディアの速度が追いつかず現実的では無いため、ここは割り切って29.97p映像撮影機として使う必要がある。なお、HD動画撮影時には、59.94p撮影を行うことが可能である。
一般的な家庭用デジタルビデオカメラでも、電動ズーム機能がついているが、本機 Canon XC10のレンズのズーム機能は、手動ズームである。XC10の手動ズームの使い勝手は良好である。ワイド端からテレ端までのズームリング回転角度は、手を持ち替えなくても操作できる角度である(何度も回さなくても広角と望遠をすぐに、滑らかに切り替えることができる)。ただし、素早くズームリングを回すとフォーカスがずれてピントの合焦が追いつかなくなることがある。この場合、ズームリングの動きから若干遅れてピントが合うことになる。
Canon XC10のズームレンズは、動画撮影時には35mmカメラ換算で27.3-273mmの10倍ズームレンズであるが、デジタルテレコン機能を使うことにより、2倍の焦点距離のレンズとして利用することができる。つまり、35mm換算で約54mm~約540mmのレンズとして使うことができるという便利な機能が付いている。デジタルテレコン機能をつかって焦点距離を2倍にして利用する場合は、ズーム全域で画面の明るさが暗くなります(実際は絞りやシャッタースピードが調整されるが、暗い場面を撮影する際にはシャッター速度が遅くなる)。
関連記事: RODE Stereo VideoMic x レビュー
Canon XC10 購入ガイド TOPに戻る
Canon XC10 レビュー
Canon XC10 アクセサリー
ビデオカメラ用語辞典
2019/4/1 Canon XC10 長期(3年間)利用レビュー [NEW]
2015/2/14 ゼンハイザー AVX-MKE2 レビュー
2015/2/12 ラベリアマイクロフォンとは
2015/1/14 Canon XC10 長期(6ヶ月間)利用レビュー
2015/8/25 Canon XC10 オートフォーカス レビュー
2015/7/28 Canon XC10 の魅力と欠点
2015/7/28 Canon XC10 スペック 仕様を徹底検証
2015/7/27 カムコーダとは
2015/7/26 Canon XC10ファーストインプレッション
2015/7/26 ホットシュー雲台 Manfrotto 492LCD レビュー
2015/7/25 Canon XC10 ローリングシャッター歪み検証レビュー
2015/7/24 外部マイク RODE Stereo VideoMic Xレビュー